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ウワノキカクのキカクメモ

Uwano Takao 広告会社でのストラテジックプランナーの経験を経て、2016年夏に独立。より人の心を動かし、多くの人に届くマーケティングコンセプトの企画と事業のコンサルティングを行う「ウワノキカク」にて事業を展開する傍ら、教育関係者の支援事業を行う非営利型一般社団法人コアプラスの理事を務める。人を想い、社会のための情熱で行動する人の思いを「マーケティングコンセプト」として形にし、必要とする人に届け、また、事業者は社会や人に貢献しながら生きていける生活を成り立たせることに伴走する。

人や場の潜在価値を引き出すファシリテーターの役割とスキル

今日は教員志望の学生のための、現役教員との対話イベントを実施しました。

 

私は、全体のパネルトークを進行するファシリテーターとして登壇。

 

先生方から「本人も気づいていなかったような本音の声」を引き出すのが役割。

 

久々にファシリテーターをやりましたが、「ああ、こういう形で話を引き出して行くのは楽しいな…」と思い、そこに思想的・技術的なこだわりもあるので、ちょっと記事に書きたくなり筆を執りました。

 

 

 

この「ファシリテーター」という役割は、同じ言葉でもイメージしているものが人によって全く違うものの代表例みたいな言葉ですが、僕が考えるファシリテーターとは「その人、その場の潜在価値を最大限表出させる機能を果たす人」です。

 

当然、ただ円滑に対話を進行させていくだけの司会役ではありません。

 

「問いかけ」という技を通じて、本人すら気づいていない、あるいは言語化できていない、より本質的な「思い」「動機」「目的」「感情」「行動や思考の前提」などを引き出していくのが仕事。

 

形式は様々で

 

◎「インタビュー」という「一対一」の形式
◎「パネルディスカッション(のコーディネーター)」という「一対数名」の形式
◎「非構成型ワークショップ」という「一対多」の形式

 

など、いろいろな形でその人・その場の最も深い潜在的な意思を表に引っ張り出してくることに挑戦します。

 

 

 

そのときに意識的に使っているスキルは、大きく2つ。

 

「傾聴」「考えてしまう質問」です。

 

 

 

「傾聴」とは、読んで字のごとく、しっかりと耳を傾けて聞くことです。

 

ポイントは1つ。

 

仮説のフィルターを持って聞く、です。

 

その方の個人的な経験に対して、「一般的にはどの様に考えられるか」「自分ならどう考えるか」といった「一般化のフィルター」、または、「自分のフィルター」を通して聞くことによって、話者の独自の考え方や感じ方、行動パターンを分析しながら聞いていきます

 

そうすることによって、本人も自覚していなかった自分の独自性への気づきを与え、なぜ自分はそうした独自の在り方をしているのかを考えるように導きます。

 

 

 

もう一つのスキル「考えてしまう質問」は「傾聴」と深く関連しますが、「ああ…そんなことは考えたことはなかったけれど、言われてみると確かに大切なことだな…うーん。。」と、質問された側が考え込んでしまう質問をあえてするようにしています。

 

これは具体的な問いを見たほうがわかりやすいので一例を挙げると…

 

なぜそのようなことをしようと考えたのですか?」
他の人がしないのに、あなたがそうしたのはなぜだと考えますか?」
「一般的には○○と思われることが多いように感じますが、一般的な立場と異なるあなたにある前提は何でしょうか?」
あえて重要なことを3つあげるとしたら、どの様なポイントがありますか?」
「重要だとおっしゃる〜をもししなかったとしたら、結果はどの様に変わりますか?」

というような質問をするようにしています。

 

こうした質問をすると、話者は「そんなこと考えたことはないけど、うーん…」とうなりながらも自身の直観にアクセスし、自分の思考・行動のより本質的な部分から言葉を紡いでくれます

 

それらの言葉は本人も初めて話すことの場合が多いので、その解釈についてはファシリテーターとして、一緒になってより理解しやすい形に言語化する作業をお手伝いします。

 

 

 

ちなみに今日のイベントでは…

 

A「〜を実現するために具体的にどの様なことをしていますか?」

話者「○○ということをしています。」

Uwapon「もし○○ということをしなかったときを考えると、その相手はした時としなかったときでどの様に違いを見せてくれますか?」

話者「○○をしても変わる人と変わらない人がいるので−−。」

 

というシーンがありました。

 

ここでは、話者が重要にしている価値観を実現するために「○○」ということを実際に意識してやっているということが話の中で出てきましたが、「もしそれをしなかった場合には結果がどの様に違ってくるか?」という「考えてしまう質問」を投げかけました。

 

すると何が起こったかというと、話者いわく「『○○』という具体的な取り組みをするだけでは本質的な変化を起こすことができないと感じているので、どの様なことをすれば狙った変化が起こせるのかはまだまだ研究しなければならないと思っている。ただ、大切にしたいのは『✕✕』なので、そこだけは忘れないように行動している。」という、「○○」より更に重要な「✕✕」という考え方が出てきました

 

これが「考えてしまう質問」の力です。

 

本人も自覚していなかった、より深いレベルで大切にしている概念を導くことができました。

 

こうした発言があちこちで繰り返されると、対話の質は急速に深まっていきます。

 

 

 

冒頭の繰り返しになりますが、「ファシリテーション」で私が大切にしているのは「人と場の潜在価値を表出させる」ということです。

 

その人、その場が気づいていないより深いレベル普遍的な価値を引き出すことを通じて、あるときは学びを高め、あるときは対立を解消します。

 

そのようなファシリテーターを生み出していくことも、今後の課題だと考えています。